命の贈り物

「こっちよ。」


喫茶店に入れば、奈都子さんが私たちに手を振っている。



私と涼は向かいに座った。



「それで、話って何かしら?……もしかしてこの間のこと?」




奈都子はすぐに話を切り出した。




「……はい。『颯太』のこととか、知りたいんです。」




「んー、そうね……。やっぱり気にしてたわよね……。ごめんなさい。」




「いえ、私は知れてよかったです。真実が、知りたいんです……。」





「分かったわ。少し長くなるけれど……。昔話でもしましょうか。」




そう言って奈都子さんはコーヒーのおかわりをもらい、少しずつ、自分の高校生活のことを話してくれた。




「私が初めてかなえに会ったのは高校2年のとき。」




< 80 / 219 >

この作品をシェア

pagetop