命の贈り物

「名前、何ていうの?」



隣の席に座ったかなえは奈都子に話しかける。



「奈都子。」



無愛想に奈都子は名前だけを答える。



「奈都子ちゃん?……可愛い名前なんだね。私は松野かなえっていうの。かなえって読んでね。」





そう言って微笑みながらかなえは手を差し出す。




仕方なく奈都子はその手を握る。




「これで私たち友達だね。」





かなえは満足そうに笑った。





それから、かなえはずっと奈都子と一緒だった。





「奈都子、今日のお昼どこで食べる?」




「……んー、屋上?」




奈都子はかなえがいたからすぐにクラスにも馴染めた。




今がすごく楽しかった。




< 82 / 219 >

この作品をシェア

pagetop