命の贈り物
残された美沙と涼はしばらく黙っていた。
沈黙を破ったのは、美沙だった。
「何か、ほんとみたいね。颯太の話。どうしよ。」
美沙はあっさりしてた。
「もっと、落ち込んでるかと思った。」
涼はびっくりしたように言った。
「落ち込んでても、始まらない。でしょ?」
美沙は悪戯っぽく涼にウインクした。
「そうだな。」
その様子に涼は笑みを溢した。
「それに、何かいい話だったし?しかも聞くとこだと、あの人、そんなに悪い人じゃないかもしれないじゃない?」
「確かに、お前から聞くような雰囲気とかいつもの喧嘩とかから考えると全く想像できないな。」
「でしょ?私、もう少し、お母さんと向き合ってみようと思うの。」
「あぁ、そうだな……。」
そうして二人は喫茶店をあとにした。