命の贈り物
美沙と涼はゆっくりと歩きながら家へと向かった。
「涼、今日はありがとね。すごく、心強かったよ。」
美沙は微笑みながら隣を歩く涼を見る。
「いや、礼を言われるようなことじゃないよ、それに……。」
「……それに?」
「いいや、何でもない。」
「何よ、気になるじゃない。」
「何でもいいだろ。」
「むー、変な涼。」
美沙は頬をふくらませた。
「悪かったな、変で。」
プイッと涼は横を向いた。
それからずっと二人は黙って歩いた。
「じゃあ、ね……。」
家の前に着くと美沙は名残惜しそうに言った。
「またな。頑張れよ。」
涼はそっと美沙の背中を叩く。
「うん……。」
涼に押されるようにして美沙は家に帰った。