命の贈り物
玄関の扉を開ければ見慣れない靴があった。
「今日は早いのか……。」
美沙は呟き、黙って部屋に向かおうとした。
その時だった。
「いい加減にして!」
「女は黙ってろよ!」
また、始まった。
でもそれは、いつもと違うようだった。
「まともに働いてもいないくせに、女だから何だとか、偉そうなこと言わないでちょうだい!」
「ふざけんな!お前に何が分かるんだよ!そもそも俺はあの男のガキまでいるなんて知らなかったんだ!」
「それとこれとは関係ないし、颯太のことは口にしない、そう言ったのはあなたでしょ!?」
リビングから聞こえてくる声。
あぁ、やっぱり……
私は颯太の娘だったんだ。
そう、思い知らされたような気がした。
「調子に乗るな!」
あの男の声と共に鈍い音が聞こえた。
そうして、リビングの扉が開かれた。
「……帰ってたのか。」
「別に、すぐ出るから。」
私は逃げるようにして部屋に向かった。
やっぱり、会話もしたくない。
でも、さっきの言葉がずっと
私の頭の中を駆け巡っていた。