命の贈り物



私もあの男に嫌われているのか……



颯太の娘だから?




別に、私も嫌いだからどうでもいいけど。





しばらくして玄関から誰かが出ていく音がした。





ヒールの音が聞こえないとこからきっと、あの男だろう。





ようやく、二人きりだ。





母と、話せる。





やっと、向き合える。




十数年間、向き合ってこようと思わなかったのは私だ。






美沙は少しだけ重たい足取りでリビングへと向かった。





扉の前で深呼吸をして扉を開ける。





「話、あるんだけど……。」





しかし、そこに見えた光景は、いつもとは違うものだった。





そこには、頭から血を流して倒れている母がいるではないか。




「お母さん!?」




美沙は慌てて駆け寄った。



「美、沙……?」





「どうしたの!?これ……。」





「いいから……早く、出ましょう、美沙……。あいつが帰ってくる前に……。」




「どういう……こと……?」




< 94 / 219 >

この作品をシェア

pagetop