命の贈り物
私もあの男に嫌われているのか……
颯太の娘だから?
別に、私も嫌いだからどうでもいいけど。
しばらくして玄関から誰かが出ていく音がした。
ヒールの音が聞こえないとこからきっと、あの男だろう。
ようやく、二人きりだ。
母と、話せる。
やっと、向き合える。
十数年間、向き合ってこようと思わなかったのは私だ。
美沙は少しだけ重たい足取りでリビングへと向かった。
扉の前で深呼吸をして扉を開ける。
「話、あるんだけど……。」
しかし、そこに見えた光景は、いつもとは違うものだった。
そこには、頭から血を流して倒れている母がいるではないか。
「お母さん!?」
美沙は慌てて駆け寄った。
「美、沙……?」
「どうしたの!?これ……。」
「いいから……早く、出ましょう、美沙……。あいつが帰ってくる前に……。」
「どういう……こと……?」