命の贈り物
救急箱からガーゼを探して応急手当をする。
幸い、傷口も浅いようだ。
「美沙、お願い……すべて話すから、今は私と一緒に来て……?」
状況から、ただ事でないことぐらい分かる。
美沙は救急箱の蓋を閉じてから口を開いた。
「……ごめんなさい。私、行けない……。」
「どうして……!?このままじゃ、美沙。あなたの身も危ないのよ!?」
「だって私、この家は大っ嫌いだけど、咲も涼も孝志も学校も、この街は大好きだもん!」
「……大嫌い……か。仕方ないことなのよね……。涼くんも孝志くんも、ずっとずっと、美沙といてくれてたんだものね……。」
母は寂しそうに言った。
「ねぇ、美沙。今までと違って、あの男から隠れて生活することになるけど、学校の近くに住みましょう?だから、一緒にここを出ましょう?」
真剣だった。
「分かったわ……。」
「ありがとう……。」
美沙はそう言う母を後ろに部屋へと向かった。
荷物をまとめるために……