命の贈り物
第六章 真実と絆
孝志は生徒会の仕事を終え、帰ろうと玄関で靴を履き替えていた。
「今、終わり?」
ふと、後ろから声がした。
「うん、まぁ……。」
孝志は後ろを振り返り、声の主である咲の方を向き答える。
「大変ね、会長さんも。」
「そんなことないさ。そっちはどうなの?キャプテンなんだろ?」
「んー、微妙……?」
「何だそれ。」
孝志は苦笑しながら聞く。
「私ね、不安なの。キャプテンとしてやってけてるのかなぁー、って。」
咲は俯きながら言う。
「どうして?ちゃんとやってると思うけどな。」
「うん……、それがね……。」
咲がぽつり、ぽつりと悩みを話し始めた。
孝志はずっとそれを聞いていた。
性格上なのか、悩んでいる人を放っておけないタチなのだ。
そういうところが孝志の良さでもあるだろう。
だからこそ、生徒会長をやれているのだろう。
美沙のこと、大切にしてきているのだろう……。