命の贈り物
美沙はビジネスホテルにいた。
「夕飯、何か食べる?」
母は美沙に聞く。
「いらない。それより……。」
美沙は急かすように話を切り出した。
「どこから、話そっか。」
母はベッドに腰をおろして言った。
「……私は、誰の子なの?」
一番気になっていたことを、美沙は真っ先に聞いた。
母は一息ついてから答えた。
「私の子よ。……私と……、颯太……。」
母の口から初めて聞いた。
彼の名前を……。
なぜ……?
何で……?
「何、で……黙ってた……の……?」
知りたかったのは何だろう……?
私は何を、求めているんだろう……?
真実……?
そんなんじゃない……。
私がいつだって求めていたもの……。
それは……。
「美沙があの男に、嫌われないように。矛先が、あなたに向かないように……。」
母親の愛だったのかもしれない……。