ユメウツツ
「いきなり殴ることないじゃないですかぁ~」

『耳元であんなに騒がれたら誰だってキレるさ。』

事の顛末はこうだ。

四条さんは、先週からある仕事を受け持っており不眠不休で取り組んでいたが、今日やっと一区切りついたそうだ。

そこで、久々に料理でもしようと思いケチャップを手にしていたら、急激な眠気に教われてその場に倒れ込んでしまった、ということだ。

つまり僕の見た“真っ赤”はケチャップだったって訳だ。


『全く、千歳君は。ケチャップと血の区別もつかないのかね』

無邪気な顔で、笑いながらそう言う四条さんに僕は顔が赤くなるのを感じた。

「四条さんが、紛らわしいことしてるのがいけないんですよ!」

『まぁ、君のそういう顔見るのは嫌いじゃないからね。顔真っ赤にしちゃって可愛いな』
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