歌織物~百人一首をお題にした詩集

住の江の 岸による波 よるさへや

  夢の通ひ路(ぢ) 人目(ひとめ)よくらむ

        藤原敏行朝臣(18番)
          
          


いまだにあの人の夢をみる



わたしに会いに来てくれる



こっそりと、夜中に



観覧車の中だったり、思い出の海だったり



情景はいつも、夜なのだ



あの人の周りは真っ暗で



人目をはばかるようにして



笑っている



だからわたしは



泣きならがら目を覚ます



そしてなぜ



自分が涙を流しているのか



一瞬忘れているのだが



夢を思い出して



泣いてしまう



現実を思い出して



泣いてしまう
































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