愛羅武勇×総長様Ⅰ
「だから寝てるって…」
『今、どこだ?』
声が怒ってる。
絶対怒ってる。
「道のど真ん中です……」
『お前今日言ったこともう忘れたのか。』
「いえ、忘れてません…」
だってまだ真昼だよ?
こんな時間にそんな怪しい人うろついてるわけないのに…
『バカだろ。』
「違う。バカじゃない。」
『じゃあアホか?』
「アホでもない!」
『わざわざ遼に家まで送らせた理由が分かんねぇのかよ。』
「だってお母さんがー…」
『あ?』
「買い物行ってきてって言うんだもん…」
『俺が今から行くから、なるべく人通り多いとこいろよ。』
「えっ、用事は?」
『終わった。』
「そっか、じゃ………っ!」
気付かなかった。
後ろから近付いてきてた黒い影に。
抵抗する間もなく、何だかよく分からない薬品を嗅がされる。
『美憂!!』
最後に聞いたのは、大ちゃんがあたしの名前を必死に呼ぶ声。
そこであたしの意識は途切れた。