愛羅武勇×総長様Ⅰ

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―――――――――…

あーあ…バカだ。

あたしってスッゴいバカ。

大ちゃん忙しいのに。

また迷惑かけちゃうよ…


「…………っん」

目をあけると、やっぱり、やっぱり定番の倉庫の中。

「……………」

どこかの族の倉庫だろうか…?

うん、そうだ。間違いない。

不良の皆さんがたくさんいらっしゃる。

見つからないように、もう一度目を閉じた。


どうしたらいい…?

大ちゃんにはここにいること伝えてないし、まず大ちゃんが来たところで、勝ち目はない。

1人では、到底叶わないに決まってる。

どうすればいいか考えていたとき、大ちゃんの弟を合わせた4、5人が話し始めた。


「なぁ光紀ー、ほんとにこいつお前の兄貴の彼女かよ?」

「あぁ、間違いねぇ。予想外だろ、俺もギャルって感じのやつかと思ってたし。」

「結構可愛い系だな。」

「大人しそうだし。」

か、可愛い!?

不良相手とはいえ、さすがに照れる。


「寝たふり?中原さん」

…………バレてたんだ…

ゆっくりと目をあけると、あたしを見下ろす数人の不良。

「つーかさ、あんたバカ?兄貴に外出歩くなって言われたんじゃねぇの?」

言われましたよ。

言われましたけど……

あたしバカだからなぁ…


「今頃兄貴必死になってあんたのこと探してんだろ。」

「っ……!」

「どうする?連絡ぐらいならさせてやってもいいけど。」

「しない。」

きっとこれが狙いなんだ。あたしは大ちゃんをおびき寄せるための道具にすぎない。

「あっそー。じゃあ勝手に連絡するから。」

「なっ……やめてよ!」

「うるせぇな。黙ってろ。」

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