愛羅武勇×総長様Ⅰ
「てめぇら、ただですむと思ってねぇよな。」
大ちゃんの目は、いつものような目ではない。
風磨を睨んでいた時の目より、怖い目をしている。
あれが……総長…
大ちゃんが総長になった理由が、今分かった気がした。
「聞いてんのか!!」
圧倒される迫力に、斎藤君の後ろにいる、何十人もの不良が怖じ気ずく。
「やる気じゃん。じゃあ、よろしく。」
そう言って下がっていく斎藤君。周りにいた不良が、一斉に大ちゃんへと向かっていく。
骨と骨がぶつかり合う音が倉庫内に響き渡る。
「何だよ、こんなもんか?」
あんなに敵がたくさんいるというのに、大ちゃんの顔は余裕だった。
さっきの言葉に反応した不良たちが、倉庫の隅の方にあった鉄の棒を持って、大ちゃんの方へ歩いて行く。
「大ちゃん…!」
「心配すんな、絶対守ってやるから。」
大ちゃんって何でこんなにカッコいいの?
今日、改めて実感した。
大ちゃんは龍泉の総長だって。
こんなにカッコいいって思える男の子は始めてみた。
あたしは、凄い人と付き合ってる。
大ちゃんの周りにいた不良が、減ってきた。
何故か、数人は大ちゃんと喧嘩するのを止め、こちらに歩いてくる。
「な、に……」
「俺らはあんたと遊ぼうかなーって」
冷や汗が背中を伝っていく。