愛羅武勇×総長様Ⅰ

「大智!」

槙も、入ってきて、大ちゃんの喧嘩に参戦。

「おっせーよ、バーカ」

あんなに傷だらけなのに、余裕で話してる大ちゃん。

「紐解いてあげるから」

「ありがと…っ」

どこからか、カッターナイフを出して、紐を切り始めた遼。

「っし、切れた、これ着て大人しく待ってて。」

そう言って、大ちゃんの学ランをバサッと投げた。

言われたとおりに、学ランを着て、なるべく見えないところにしゃがみこんだ。


「頑張れ…!」

ギュッと手を組み、祈って応援する。

3人に増えたことで、大ちゃんの方が有利になったのか、殴り合う音が激しくなった。


数分経って、あれだけ賑やかだった倉庫内がシーンと静まり返る。

こっそり覗くと、3人とも斎藤君を睨んでいた。

「今回は許せねーな。何したか分かってんのか。」

「兄貴の彼女誘拐。」

「お前ふざけてんのかよ。」

遼が、今までに聞いたことのないような、低い声で話す。

「度が過ぎてんだろ。」

いつも冷静な槙まで怖い顔をしてる。

「そんなに俺が嫌いか。」

「嫌いに決まってんだろ!!」

「…はぁー……離婚のことだろ?」

「それ以外に何があんだよ。」

「親父のとこ行けよ。離婚した理由ぐらい本人に聞け。」

斉藤君は離婚した原因が大ちゃんにあると思ってるんだ…

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