愛羅武勇×総長様Ⅰ
なんだ、結構家族思いなんだね。こんなこと、大切な人のためじゃなきゃできないでしょ。
「なんで指図されなきゃなんねぇんだよ。」
「俺から離婚の理由聞いたって、お前絶対納得しねぇよ。」
「離婚の理由ぐらい知ってんだよ!あんたのせいだろ!あんたが母さん困らせるから!!」
「それは表面上だってことだ。」
表面上?どういう意味だろ……離婚しなきゃいけなかった理由は、他にあるってことかな…?
「本当の理由が知りたいなら、親父のところへ行け。」
そう言って、大ちゃんはこっちへ歩いてくる。
「ごめんな、怖い思いさせて…」
大ちゃんのせいじゃないじゃない。あたしが勝手なことしたから…あたしのせいでこうなったのに……
「大ちゃんスッゴいカッコよかった…」
お世辞なんかじゃなく、本気でそう思った。こんなに惹きつけられたのはきっと初めて。
「ごめんね、あたしが勝手なことしたから…」
あたしが謝ると、普段はあまり見せない柔らかい表情で、微笑んだ大ちゃん。
「帰るぞ。」
「うんっ」
元気よく返事をし、ギュッと大ちゃんに抱きつく。
「ラブラブだな、バカップルが。」
「美憂ー、俺も頑張ったからギューってしてー」
「俺がしてやるよ。」
そう言って、遼に抱きついた槙。
仲良いなぁ…
「うわっ!やめろっつーの!」
「相変わらず遼は小せぇなー、成長期来たのかよ。」
「はぁ? 来ましたけどー。結構前に来ましたけどー。つーか、まだ来るし!」
じゃれ合いながら、倉庫を出て行く。