愛羅武勇×総長様Ⅰ

なんだ、結構家族思いなんだね。こんなこと、大切な人のためじゃなきゃできないでしょ。

「なんで指図されなきゃなんねぇんだよ。」

「俺から離婚の理由聞いたって、お前絶対納得しねぇよ。」

「離婚の理由ぐらい知ってんだよ!あんたのせいだろ!あんたが母さん困らせるから!!」

「それは表面上だってことだ。」

表面上?どういう意味だろ……離婚しなきゃいけなかった理由は、他にあるってことかな…?

「本当の理由が知りたいなら、親父のところへ行け。」

そう言って、大ちゃんはこっちへ歩いてくる。


「ごめんな、怖い思いさせて…」

大ちゃんのせいじゃないじゃない。あたしが勝手なことしたから…あたしのせいでこうなったのに……


「大ちゃんスッゴいカッコよかった…」

お世辞なんかじゃなく、本気でそう思った。こんなに惹きつけられたのはきっと初めて。

「ごめんね、あたしが勝手なことしたから…」

あたしが謝ると、普段はあまり見せない柔らかい表情で、微笑んだ大ちゃん。


「帰るぞ。」

「うんっ」

元気よく返事をし、ギュッと大ちゃんに抱きつく。

「ラブラブだな、バカップルが。」

「美憂ー、俺も頑張ったからギューってしてー」

「俺がしてやるよ。」

そう言って、遼に抱きついた槙。

仲良いなぁ…

「うわっ!やめろっつーの!」

「相変わらず遼は小せぇなー、成長期来たのかよ。」

「はぁ? 来ましたけどー。結構前に来ましたけどー。つーか、まだ来るし!」

じゃれ合いながら、倉庫を出て行く。

< 109 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop