愛羅武勇×総長様Ⅰ
「これどう?」
演劇部のやつらを外に追いやり、俺の着る服を選んでいる槙。
「どれでもいい。」
「じゃあこれな。さっさと着替えろ。」
バサッと渡された服を見ると、何故かスカートが。
「ズボンじゃねーの?」
「お前何でもいいって言っただろ。」
「はいはい。」
渡された服に着替え始める。時計を見ると
【5:50】
やっべぇ、時間が。
急がねぇと。
ウエストの細いスカートをはいて、長袖のTシャツの上に上着を着る。
なんていうのか分からない、茶色の長いブーツを履くと、少しよろけた。
「一生の不覚…」
「着替え終わった?」
「…おう…」
カーテンを引いて、俺を見た槙はニヤニヤと笑っている。
「やっぱ似合うじゃん。」
「はいはい。それは良かった。さっさと行くぞ。」
茶髪のふわふわしたカツラをかぶりながら、なれない足取りで走り出す。
廊下を靴で走ること自体が間違いだと思うが、カツカツとなる足音にイラつく。
「槙、チャリパクってこいよ。」
「りょうかーい。」
門で待っていると、どこからかチャリをパクってきた槙。