愛羅武勇×総長様Ⅰ
「ファーストキスだね」
-美憂side-
「お、おじゃましまーす…」
「誰もいねぇよ」
「まぁ、一応ね…」
緊張する。こんなことで大ちゃんの家に入るなんて、思ってもみなかったし…
入っていくと「座ってろ」と言って、リビングに座らされた。
どうしても落ち着かないあたしは、キョロキョロと、部屋を見渡してみる。
「何探してんだよ。」
「えっ!?あ、いや………救急箱とかないのかなーって…」
「怪我したのか?」
「してないしてない!」
両手を前に突き出し、ブンブン振ると、大ちゃんは不思議そうな顔をして、あたしを見た。
「大ちゃんの手当てをしようかなーって…」
「お前下手だろ。」
「下手じゃないもん!」
カッターシャツについてる血を見ながら
「大した怪我じゃねーから」
そう言った。
「大した怪我だよ!」
「気にすんな。」
「気にする!いいから、救急箱持ってきてよ」
「………はいはい」
そう返事をすると、大ちゃんはリビングから出て行った。
数分すると、ちゃんとした救急箱を持って帰ってきた。
「ちゃんとしたやつあるんだね」
「あぁ、まぁな。」
救急箱をあけて、消毒液と包帯とバンソーコをだす。
「ゆっくりやれよ。」
「分かってるって…」
ティッシュに消毒液をつけて、額の切り傷に触れた。