愛羅武勇×総長様Ⅰ
槙と遼が出て行ったドアとは、反対側にあるドアに向かっていく大ちゃん。
「待って!遼と槙はっ?」
「あいつらなら大丈夫だ。いいから黙ってついて来いよ、見つかる。」
さっきよりも激しくなった物音。
もしかして喧嘩…?
「早く」
こんなときまで冷静でいる大ちゃんに、少し腹が立った。
「どこに行くの?」
「あいつらに見つからない場所。心配すんな、生きて帰すから。」
「当たり前でしょ!」
そう言うと、大ちゃんは優しく笑った。
「っ////」
「何照れてんだよ」
「照れてないっ//」
暴走族だってまだ信じきれてない。だってこんなにも、優しい顔して笑うんだもん…
あたしのイメージしてた暴走族は
もっと乱暴で、
喧嘩ばっかしてて、
あんなに優しく笑わない。
少なくとも、あたしの知ってる暴走族はそうだった。大ちゃんとは、似ても似つかない。
だから戸惑ってるんだ。
この人が、総長であることに。