愛羅武勇×総長様Ⅰ

-遼side-

「大智、お前何なんだよ。見ててイラつく。」

「あ?」

「遼、止めろ。」

こいつは…

こいつは俺の気持ちを知ってる。


「槙は黙ってろよ。」

「黙ってらんねぇから口出してんだ。」

「遼、何が言いたい。」

知ってるくせに。

ムカつく。

何で…


何で美憂が大智の彼女なんだよ…


「遼、帰るぞ。」

「……遼。」

「………んだよ…」

「美憂が好きなんだろ?」

いつもと変わらない、無表情でそう言う大智。

ほら、分かってた。

つーか分かんねぇほうがバカだよな。誰が見ても分かるっつーの。


「っ、分かってんじゃん」

「バーカ、誰が見ても気付く。あのアホな本人以外はな。」

きっと、気持ちを伝えたら、美憂は優しいから俺のこと必死で考えようとする。

それだけは避けたい。

「遼、悪ぃけど、美憂だけは渡せねーな。」

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