愛羅武勇×総長様Ⅰ
「俺の家離婚してるって言っただろ?」
「んー、言ったね。」
「あれさ、親父なりに家族を守ろうとしてたんだ。」
守ろうとしてた?
離婚して守るって…
「親父、ヤクザの組長やってんだ。」
え…?
ヤクザの、組長?
いやいや、嘘だよ。だって大ちゃんのお父さんは、あのレストラン経営してるって言ってたじゃない。
「ちょ、ちょっと待ってよ。大ちゃんこの間、お父さんはレストラン経営してるって言ってたよね?」
「あぁ、レストランは副業。本業はヤクザ。」
「へぇー……そっか…」
急な展開に着いていけない。そりゃあ、普通にレストラン経営してるだけじゃないとは思ってたけど、まさかヤクザだったなんて。
何となく思ってたけど…
「今もだけど、ヤクザの組長つったら命狙われんだろ。だから、家族を巻き込む前に離婚。」
優しいから出来ることだよね……
ほんとに好きな人と一緒にいられないなんて、あたしなら絶対に無理。
そこまで物分かりよくないから。泣いてでも一緒にいる。
「大ちゃんは…?」
「俺は俺の意志で親父についてきた。」
そう言うと、大ちゃんは「それと…」と付け加えて
「周りの組に家族守るために離婚したってバレたら、意味ねぇだろ?」
あぁ、そっか。離婚した理由がそれだってバレたら狙われるのは、斉藤君か、斉藤君のお母さん…
「離婚の本当の理由知ってんのは、親父と俺と遼と槙………後、お袋ぐらいだな…。」
「斉藤君は何で大ちゃんのせいだって言ってたの?」