愛羅武勇×総長様Ⅰ

「大ちゃんっ」

「…………」

机に伏せていた大ちゃんは、眠そうで、不機嫌な顔をしてこっちを向いた。

小走りで大ちゃんのもとへとむかい、膝立ちして目線を合わせる。

「今日一緒に帰れる?」

「………2人で?」

「うんっ、2人で。」

「あの女は。」

「今日は断るよ。」

「……絶対断れよ。」

「大丈夫だよ、だから一緒に帰ろ?」

「…おう。」

「ふふっ、久しぶりだね!」

「だな…」

まだ眠いのか、ウトウトしてる。

何か可愛い…


「おやすみ…」

「ん………」

そう言って、再び眠りについたようだ。

「柚ちゃん!あたし今日は全力で断るよ!」

「そっか、頑張れ!」

「うんっ」

―ガラッ…

綾香が鼻歌を歌いながら帰ってきた。


「あ、綾香!あの…今日は一緒に帰れないんだけど…」

「…………分かった。」

あれ、意外にすんなりしてる。

こんなことなら初日から断っておけば良かった…

冷めた目をしてる綾香。やっぱり裏はあるみたいだね、分かってたけど。

綾香もあたしも、柚ちゃんの席から離れて自分の席へ戻る。


「可愛い……」

眠ったままの大ちゃんの寝顔を見ながら、ノートだけはきちんととっていく。

遼と槙は何故か2人とも早退してる。

いつの間に帰ったのか…

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