愛羅武勇×総長様Ⅰ
「ちょっと待ってて…」
柚ちゃんはそう言って、走り出した。きっと"あれ"を見に行ったんだろう。
「っ…」
泣きすぎて、まともな思考が働かない。しゃがみ込んで、声を押し殺して泣く。
数分待つと、柚ちゃんが焦った様子で走ってきた。
「美憂っ、何よあれ!」
「…分かん、ない………っ」
「屋上行こう、ゆっくり話さなきゃ。」
首を縦に振る。
柚ちゃんに支えられながらも立ち上がり、屋上へ向かう。
今日綾香が朝来なかったのは"あれ"のせいなの…?
―ガチャ…
思い扉を開けて、少し寒い屋上へと足を踏み出した。
「あ、れさ……日付見たら昨日だったんだけど…。美憂昨日神岡君と一緒に帰ったんでしょ…?」
「っう、ん…」
「そっか…」
あたしにも分からない。
何であんなものがあるのか。
でもあたしが見たのは、紛れもなく……