愛羅武勇×総長様Ⅰ
-美憂side-
「…………………」
「なぁ、こいつ大丈夫かよ…?」
「大丈夫じゃなさそうよね…」
海斗と柚ちゃんが話してる。
「はぁー………」
まぁ誰が見ても、あたしは大丈夫な状態ではないと思う。
「美憂、やっぱり帰る…?」
「つーか帰ったほうがいいと……」
―バァンっ!!
突然、ドアを開けた大きな音が教室中に響いた。
「な、何だ!?」
海斗が驚き、柚ちゃんが唖然としていると
「美憂っ」
息を切らした大ちゃんが入ってきた。
「っ!!」
すぐさま椅子から立ち上がる。
「ちょっと待てよっ!」
「ばぁかっ!」
待つわけないでしょ。
大ちゃんの横を通り過ぎ、走って逃げる。
「おい!」
「ついて来るなバカ男っ!」
「あ゛ぁ?てめぇ…」
全力疾走で、大ちゃんから逃げまくる。
さっき走ってきたばかりの大ちゃんは、あたしが走り出すと、明らかに嫌な顔をした。
「大智!」
あたしの前方には遼が怒った顔で走ってくる姿が。
「てめぇ勝手なことすんじゃねーぞっ!」
「うっせーな!黙ってろよ!」
何なの、もー…
意味分かんないし、何で遼まで怒ってるの?
「おいこらてめぇ!止まれよ」
遼の横をするりと交わした大ちゃん。
止まらずに、あたしを追い続ける。