愛羅武勇×総長様Ⅰ

-美憂side-

「…………………」

「なぁ、こいつ大丈夫かよ…?」

「大丈夫じゃなさそうよね…」

海斗と柚ちゃんが話してる。

「はぁー………」

まぁ誰が見ても、あたしは大丈夫な状態ではないと思う。

「美憂、やっぱり帰る…?」

「つーか帰ったほうがいいと……」


―バァンっ!!

突然、ドアを開けた大きな音が教室中に響いた。

「な、何だ!?」

海斗が驚き、柚ちゃんが唖然としていると

「美憂っ」

息を切らした大ちゃんが入ってきた。

「っ!!」

すぐさま椅子から立ち上がる。

「ちょっと待てよっ!」

「ばぁかっ!」

待つわけないでしょ。

大ちゃんの横を通り過ぎ、走って逃げる。

「おい!」

「ついて来るなバカ男っ!」

「あ゛ぁ?てめぇ…」

全力疾走で、大ちゃんから逃げまくる。

さっき走ってきたばかりの大ちゃんは、あたしが走り出すと、明らかに嫌な顔をした。


「大智!」

あたしの前方には遼が怒った顔で走ってくる姿が。

「てめぇ勝手なことすんじゃねーぞっ!」

「うっせーな!黙ってろよ!」

何なの、もー…

意味分かんないし、何で遼まで怒ってるの?

「おいこらてめぇ!止まれよ」

遼の横をするりと交わした大ちゃん。

止まらずに、あたしを追い続ける。

< 144 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop