愛羅武勇×総長様Ⅰ
「美憂!」
「おい大智っ!」
だんだん、距離が縮まってきた。
追いつかれそうになったあたしは、すぐ近くにあった教室へ逃げ込んだ。
「待てって!」
「やだっ…!」
―ガンッ!
押さえていたドアが、いとも簡単に開いてしまった。
―カチャ…
何故か鍵をかける大ちゃん。
「ごめん…」
「は…?何で謝るの…そんなのやったの認めてるようなもんじゃない!」
「ちがっ…」
―ドンドン!
「大智!」
「ここ開けろ!」
「開ければ?話すことなんてないんだから…」
「まだ話終わってねぇだろっ!」
ドアの方へ向かうあたしの手を勢いよく掴む。
―ドンッ!
「い、たい…!」
強く掴まれた腕を引かれ、壁に押しつけられた。
「信じろよ…」
「何を?証拠があるのに何を信じればいいの!」
「だから俺はっ…」
「何でキスなんかしたの…」
視界がぼやけ始めた。
冷たい涙が、頬を伝っていく。
「分かんねぇ…」
―パンッ!
大ちゃんの頬が赤くなっていく。
「分かんないって何…!?ふざけないでよ…!」
「……………っ」