愛羅武勇×総長様Ⅰ
「綾香に……」
「…あ?」
「綾香に触った手であたしに触らないでっ!!」
大ちゃんは驚いた顔をした。
その瞬間
―ガッシャーーンッ!!
ドアが外れて、倒れる。
「大智…、てめぇ…」
大ちゃんがあたしを押さえつける手の力が、少し緩められた。
大ちゃんの手を振り払って、ドアへ向かう。
ドアを蹴破ったであろう、張本人の遼と槙が、息を切らしながら倒れたドアの前に立っていた。
「おい美憂!」
遼に名前を呼ばれたが、振り返らずに走った。
"キスなんかしてない"
そう言って欲しかったのに…
大ちゃんはそんなことしないって信じてたのに…っ
「……っ!」
綾香…?
写真が貼ってあった所まで戻ってくると、無表情で写真を見ている綾香。
「あれー?美憂どうしたの?」
―え…?
「泣いてんじゃん、何かあったー?」
理由が分からないの…?
「何で………っ」
「何?」
「信じらんないっ……」
再び溢れる涙を手で拭いながら、走り出した。