愛羅武勇×総長様Ⅰ
「大智、美憂は?」
槙が近寄ってきて小声でそう言った。
「ヤバいかもしんねぇ。」
「車用意しとくぞ。」
「サンキュー…」
槙から目を離し、再び真白を睨み付ける。
「何ビビってんだよ。龍泉なめんなって言っただろ?」
「っ、……行け」
真白のその声を合図に、喧嘩が始まった。
俺を睨む真白の視線は、俺から外れない。
手に力を入れているのが俺から見てもすぐに分かった。
「はっ…余裕ねぇだろ。」
「黙れ!」
逆ギレじゃねーか。
「さっさと来い、相手してやるからよ。」
挑発的な目で見ると、殴りかかってくる真白。
………単純…
「生意気なんだよっ、てめぇ!!」
確かに真白は3年だから俺より年上だけどさ。
「そんなに怒んなよ。」
「うぜぇな!!」
「ま、お前が本気出そうが俺には関係ねぇけどな。」
―バキッ!
「うっ………」
「ほら、かかって来いよ。」
なるべく早くかたをつけて、美憂を病院に連れて行く。