愛羅武勇×総長様Ⅰ
……見なかったことにしよう。
きっとあれは幻覚だよ。朝から働かないあたしの脳が見せた幻覚。
大丈夫、現実にあんなのいるわけないもん。
「あはは……よし。」
そういえば裏門があったね。
バカだ、あたし。
クルリと向きを変えて歩き出した…はずだったんだけど。
前に進まないのは何故?
「お前ここの生徒だよな」
少しかすれた声で聞いてきた金髪君。
やべぇ。
終わったな、人生。
バイバイ…
あたしの青春……。
「あー…はい…」
「案内しろ。」
ムカつく。なんかムカつく。
何なのその態度。
なんて、口に出せるわけないけどさ。
「はい、ここが職員室です」
ちゃっかり案内しちゃった。
不良だもんね、これ以上関わるのは嫌だし。
「あ、あの……あたし遅刻するんで。ていうか、もうしてるんで、行きますね…。」
遅刻して何分たったことやら。
絶対怒られる…
金髪君め…バットタイミングで現れてくれちゃってさ。
今度は捕まらない内に逃げた。
「まじで暴走族だったりして。って……さすがにそれはないよねー。」