愛羅武勇×総長様Ⅰ
ふと時計を見ると、全力疾走しても間に合わない時間に。
いつも慌てて家を出てるけど、そのいつもよりずっと遅い時間だった。
「大ちゃんの所為でまた遅刻だ…」
「…だから乗せて行ってやるって言ってんじゃねぇか。」
「………仕方ないから今日は乗る…」
「何様だてめぇ」
「スイマセン、乗せてください。」
バイクに跨ると、ゆっくり進み始めた。
そんなに都会じゃないから、この大きなバイクの音はきっと近所迷惑なんだろうなぁ。
振り落とされないように大ちゃんにしがみつくと、少しだけ暖かかった。
でもやっぱり……
「寒いよー!」
「うるせぇ。」
大ちゃんってば凄いスピードで行くもんだから、風がモロに当たっちゃうんだよ!
「大ちゃん寒ーい!」
「……………。」
とうとう無視されちゃったよ。
仕方ないから学校につくまで、黙ってることにした。
話すこともないのにどうして迎えに来てくれたんだろう。やっぱり大ちゃんってよく分かんないや。