愛羅武勇×総長様Ⅰ
「あれ、美憂?もう帰…る…?」
遼に話しかけられたが、今は構っていられない。倉庫のようなところを出た後、直ぐに走り出した。
無我夢中に走って、行き着いたのは、見知らぬ公園。
「あーあ……」
溜め息をついて、ベンチに座る。
さっき言われたことを思い出すと、自然と涙が溢れ出てきた。
「……っふぇ………ヒック…」
大ちゃんが悪いわけじゃない。
大ちゃんが誰と付き合おうと、あたしが口出し出来るわけじゃないんだから。
だから、さっきのはあたしが悪い。
「今度は泣いてんの?」
後ろから誰かがそう言った。
聞き覚えのある声。
だけど誰の声かは分からない。
声の主が気になり、フッと振り返った。
「俺のこと忘れた?」
「風磨…?」
忘れるわけがない。
昨日会ったばっかだし。
助けてもらったんだから。
「そう、風磨君ですよ。昨日ぶりだな。2日も続けて会うなんて…運命だったりして」
「何言ってるの」
風磨のお陰で、いつの間にか泣き止んでいた。
「何があったのか分かんないけど…俺、泣いてる顔は嫌いだぞ。」
「……やっぱり泣いてる女の子ってウザい…?」
男の子ってみんなそう思ってるの?