愛羅武勇×総長様Ⅰ
「ありがとう…」
『どういたしまして、じゃあ待ってるからね』
「うんっ」
―ピッ…
電話をきってすぐ、家についた。
―ガチャ…
「ただいまー」
「あら、柚ちゃんもう上にいるわよ。」
「うん、知ってる。」
帰り道の途中にあった自販機で、ジュースを買った。待たせたお礼に。
―ガチャ…
「おかえり、美憂」
「ただい、ま……っ……」
「おかえり」そう言って、柚ちゃんはあたしを抱き締めた。
大したことじゃないのに涙が溢れる。
「何があったのか話せる?」
泣くので精一杯なあたしは、必死に頷いた。
「神岡君、心配してたよ…」
「……っ大ちゃんが…だりぃ…って……っ」
「だりぃ? 何が?」
女の子が誰なのか教えてくれなかった。
関係ないって言われた。
分かってるよ、関係ないことくらい。
それでも、知りたかった。
大ちゃんのことを知りたいと思って、勇気を出して聞いたのに。