愛羅武勇×総長様Ⅰ

あたしの事嫌いなんでしょ…?

どうして…


「……………よぉ」

何で…?

「…話がある…」

何で大ちゃんが居るの?

「…っ……帰って…」

「話があるって言ってんだろ…」

「…やだ…っ」

ドアを閉めようとすると、大ちゃんがそれを制する。

いくら体格の大きくない大ちゃんでも、あたしが勝てるような力ではなかった。


「…閉める気あんのかよ…」

大ちゃんはそう呟いた後、ドアを思いっ切り引いた。

頑張っても無駄な抵抗で、逆に自分が惨めに見えた。

引っ張られた衝撃で、前へ倒れ込む。

前へ居た大ちゃんに、抱き締められた。


「…は、なして…」

「やだ、離さない」

ずるい……ずるいよ、大ちゃんは…


「離してっ!!」

「っ…、話だけ聞け…すぐ終わるから…」

「や…だぁ……っ…」


こらえていた涙が溢れてくる。

「…離し、てよぉ……っ」

大ちゃんは、離すどころか、力を込めてあたしを抱き締める。

「何なの…っ…今更…!」

「………………」

「黙んないでよ…っ!」

大ちゃんは言葉を発することなく、あたしを抱き締めた腕を離さない。


「っ……ばかっ!大ちゃ、んなんか…大嫌い……っ…!」

「大嫌い」そう言うと、大ちゃんはゆっくりとあたしを離した。

結局は健ちゃんと、変わらない。

確信を持てた。

大ちゃんはあたしを見捨てるんでしょ…?

逃げるくせに…


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