愛羅武勇×総長様Ⅰ
「俺はお前のこと、嫌いじゃない。…素直じゃないんだよ…俺は…」
嫌いなくせに…
「いつも思ってる事と逆の事しか言えねぇ…」
大嫌いって言ったのに…
「分かってくれとは言わねぇから…それだけは知っててほしい」
何で…?
また信用しちゃうじゃない…
『アホ』
『バカじゃねぇの』
『黙れ。』
『うるせぇ。』
何回言ったか分かってる?
全部反対の事言ってるなんて、言ってくんなきゃ分かんないよ…
「うるさいとか、ウザいとか…1回も思った事ねぇ。」
「っ…言ってくんな、きゃっ…分かんないよ…!」
「悪かった、女は苦手なんだよ。扱い方が分かんねぇから。」
今ここにいる大ちゃんはほんとに大ちゃん?
いつもじゃ考えられないくらい、素直で優しい。
転校初日に会ったときのような感覚、大ちゃんの本当の優しさが見えてきた気がした。
「…俺のこと嫌いでいいから、無視だけはすんな。」
「分かっ、た…」
そういった瞬間に後ろから聞こえた声。
「…美憂…?」
優しい特徴のある声。
一瞬時が止まったような気がした。