愛羅武勇×総長様Ⅰ
小走りで、教室に戻ると柚ちゃんがあたしを見て急いで駆け寄ってきた。
「さっきの話の続きっ!美憂の隣の席は…」
―キーンコーンカーンコーン…
なんか今日、いろいろタイミング悪すぎなんだけど。
「はぁー…」
柚ちゃんが溜め息をついた。
「ごめんね? 次の休み時間に絶対話そうよ。」
「うん…そうだね…」
柚ちゃんがあんなに深刻そうに話すもんだから、授業中も気になって仕方がない。
授業なんて上の空。
全く興味のない先生の話が右耳から入って、左耳から抜けていく。
「はぁー…」
「溜め息つくほど、俺の授業はつまらないか?」
あたしの席の真後ろに立っている、鬼教師で有名な英語の教師。
「さっきから上の空だな。」
「…………まぁ…」
「これ、明日までにやって来い。いいな、明日までだぞ。」
今日はほんとに、とことんついてない日なのかもしれない。
ドサッと置かれたプリントを見て、また大きな溜め息をつきそうになった。
柚ちゃんは呆れた顔であたしを見てくる。
…………やっぱり今日はついてない。