愛羅武勇×総長様Ⅰ
「あたし…っ……あたし…どうしたら…?」
「それは自分で考えることだよ。あたし達が考えることじゃない。美憂が自分の思うようにすればいいんだから。」
自分の思うように…
それならあたしは……きっと最低な人間。
最初から答えは決まってた?
どうして?
誰も傷付いてほしくないって考えは甘いのかな…
誰も傷付かないなんて、有り得ない。あたしがみんなを傷付ける。
だったらいっそのこと、関わらないでおこうか。
大ちゃんのことも、風磨のことも、忘れてしまえば。出会わなければ。
――誰も傷付かない。
「…み…ぅ、美憂!」
そこでハッとした。
「あ……ごめん……」
「何考えてんだ?」
「え……?」
はぁ、とため息をつき、苦笑いをした。
「いつもの美憂じゃない。明るくて、ポジティブで、いつも笑顔。俺の知ってる美憂は、今のお前じゃないよ。」
笑えない、ポジティブになんかなれない、明るくなんてなれない…
ダメだよ……
あたしは、結局1人じゃ何も出来ないんだから。
「後悔しないようにね。」
フワッとした笑顔で柚ちゃんは笑った。
「柚ちゃん…誰も傷付かないなんて無理なのかな?」
少し驚いた顔をした後、「美憂は優しいね」と言った。
「優しくないよ……結局はあたしが傷つきたくなくて、大ちゃんと風磨に会わなきゃ良かったって思ってるの…」
「相手にも傷ついてほしくないから、そうでもあるんじゃない?」
大ちゃんと風磨には傷ついてほしくない。
そう思わないわけないもん。