愛羅武勇×総長様Ⅰ

「あたし…っ……あたし…どうしたら…?」

「それは自分で考えることだよ。あたし達が考えることじゃない。美憂が自分の思うようにすればいいんだから。」


自分の思うように…

それならあたしは……きっと最低な人間。

最初から答えは決まってた?

どうして?

誰も傷付いてほしくないって考えは甘いのかな…

誰も傷付かないなんて、有り得ない。あたしがみんなを傷付ける。

だったらいっそのこと、関わらないでおこうか。

大ちゃんのことも、風磨のことも、忘れてしまえば。出会わなければ。


――誰も傷付かない。


「…み…ぅ、美憂!」

そこでハッとした。

「あ……ごめん……」

「何考えてんだ?」

「え……?」

はぁ、とため息をつき、苦笑いをした。


「いつもの美憂じゃない。明るくて、ポジティブで、いつも笑顔。俺の知ってる美憂は、今のお前じゃないよ。」

笑えない、ポジティブになんかなれない、明るくなんてなれない…

ダメだよ……

あたしは、結局1人じゃ何も出来ないんだから。

「後悔しないようにね。」

フワッとした笑顔で柚ちゃんは笑った。

「柚ちゃん…誰も傷付かないなんて無理なのかな?」

少し驚いた顔をした後、「美憂は優しいね」と言った。

「優しくないよ……結局はあたしが傷つきたくなくて、大ちゃんと風磨に会わなきゃ良かったって思ってるの…」

「相手にも傷ついてほしくないから、そうでもあるんじゃない?」

大ちゃんと風磨には傷ついてほしくない。

そう思わないわけないもん。

< 70 / 169 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop