愛羅武勇×総長様Ⅰ

「今日は朝早いね」

「あぁ、大ちゃんが迎えに来てくれたから」

そう言うと、遼は「ふーん…」と言って、大ちゃんの方をチラッと見た。

「………なんだよ」

「べっつにー。」

「喧嘩でもしたの?」

「………美憂が気にする事じゃないから。」

ニコッと笑い、あたしの手をギュッと握った。

「美憂、屋上行かない?」

「んー…大ちゃんは行く?」

「行かねぇ。」

「だったらいいや。」

「じゃあ俺も行かなーい。」

何故か遼が、握った手を離さない。

「……………」

大ちゃんが無言で、遼を睨んでいるのが見える。

「り、遼…?」

「ん?なぁに?」

か、可愛い…!

なんかいつも以上に可愛い!


「なんか可愛いね、今日…」

「そう?ありがとー」

普通に会話していると、大ちゃんが立ち上がって、遼に握られている手を引っ張った。

「痛っ……」

「遼、離せ。」

「何で?」

険悪なムードが漂う。

あれ、何でこんなことになってるの?


「……まぁいっか、仕方ないから今日は離してあげる。」

ニコッと可愛い笑顔を見せた遼は、ゆっくりとあたしの手を離した。

「大智は嫉妬が激しいからね。」

大ちゃんに怯んで離したわけではないみたいだ。


―ガラッ…

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