愛羅武勇×総長様Ⅰ
「神岡大智って知ってるだろ?龍泉の総長。」
「あぁ、はい…」
大ちゃんの知り合い……あたしが見たことないのは当たり前か。
―ガラッ…
「…美憂……っ!……」
大ちゃんが保健室に入ってきた。斎藤君を見た途端に、驚いた顔をする。
何でこんなに驚いてるの?
大ちゃんの知り合いじゃないの?
「大ちゃん…?」
「久しぶりだね。」
斎藤君は、ニコッと大ちゃんに笑いかけ
「お兄ちゃん。」
とんでもないことを言った。
「お、お兄ちゃん!?」
あたしが混乱していると
「てめぇ何しに来た。」
喧嘩するときのような、ドスの効いた、低い声でそう言った。
「兄弟にその態度はないんじゃねぇの?」
いまだに表情を崩さない斎藤君。
大ちゃんと一緒で度胸がある。
「美憂、来い。」
「あ、その子彼女?」
大ちゃんはその問いかけを無視して、保健室を出た。
「あ、あれ大ちゃんの双子の……」
「斎藤光紀。俺の弟だ。」
こんな形で出会ってしまうなんて…
「チッ……思ってたよりも早ぇじゃねぇか…」
大ちゃんはボソッとそう言ったが、あたしにはハッキリと聞こえた。