シルバーブラッド ゼロ
月明かりが、彼女の姿を照らしてゆく。

血管が透けそうなほど白い肌に、クセの無い整ったカオ。

特徴的な優美なラインを描いた目には、赤い瞳が光っていた。

無感情に男を見ていたその瞳から、ふいに赤い色は消えてゆき、漆黒に変色を遂げた。

「ターゲット抹殺、完了」

 命が確実に消えたことを確認して呟くと、その声を、ヘッドセットのマイクが拾った。

『ごくろう、エイジュ。それでは次の任務に移ってくれ』

 無機質な声が返って来た。

「了解」

 サイレンサーの付いた銃を手にしたまま、彼女、エイジュは部屋に背を向けた。
< 10 / 192 >

この作品をシェア

pagetop