シルバーブラッド ゼロ
斜面をどうにか降り、次のアスファルトにつくと、浩之は道に沿って登り始めた。
 
それから、自分が銃を握り締めていることに気付いた。
 
よく、間違って発砲しなかったもんだ。
 
タラりと冷や汗を垂らして、安全装置を掛け、ズボンとウエストの間に突っ込んだ。
 
自分が歩いていくべきアスファルトの上は、遮られてない月の光のお陰でよく見えた。
 
敵に、自分自身の姿もよく見える状態なのに、不思議と、不安な気がしない。
 
張り詰めてないといけない緊張感を、柔らかな月光が和らげてしまったのかもしれない。
 
次の瞬間、撃たれるかも知れないっていうのに。
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