シルバーブラッド ゼロ
扉が閉められているだけの門は、IDカードが難なく開けてくれた。
 
背後でしっかりと閉まった音に、浩之は気持ちを引き締めた。
 
建物に向かって一歩歩く度、どこかに潜んでいた、逃げ帰りたい気分も、消えていく。
 
玄関に辿り着く。
 
こんな簡単でいいのかと思うほど、あっさりと侵入に成功した。

明るいホールをぬけ、IDカードを使ってエレベーターに乗る。

扉が閉まる。

もしかしたら、コレは罠なのかも知れない。

浩之の頭がチラッとそう考えた。

侵入者を門や玄関で追い返すより、その目的を吐かせ、確実に始末するためには、ここで閉じ込めるのが、いい手じゃないか?
< 140 / 192 >

この作品をシェア

pagetop