シルバーブラッド ゼロ
「どうかした?」

「入り口が分からない」

エイジュは、並べられた棚の通路から、本棚の方を見た。

「ロックされてるわ」

 呟いて、浩之を見た。

「ここは使えないわ」
 
誰かが既に、コントロール室に駆けつけていて、ここをロックしたのかも知れない。
 
エイジュの動きを掴む前に、オレなら先ず、そうするだろうから。

「一人ずつ、地道にやっつける?」
 
試薬室を出ながら、エイジュの横顔に訊いた。

「それしかないなら」

エイジュは少し考えて、浩之の方を見、笑った。

「まだ一つ、可能性があったわ。」

ゆっくりと、エイジュは前を歩き出した。

何度か通路を折れて、一つの部屋の前に立ち止まる。
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