シルバーブラッド ゼロ
そちらに向き直ったとき、首から何かを外した。

青い色が、手の中で光っている。

浩之は、ふと思い出した。

エイジュに始めてあったとき、彼女が首に掛けていたものだ。

今も、身に付けていたのか。

エイジュは、カードリーダーの下にある、鍵穴を押した。

ガチッと音がして、金属のツマミが持ち上がった。

それをエイジュが引っぱって開けると、中に丸い穴があった。

エイジュは、ペンダントトップの青い石を、そこにはめ込んだ。

カードを通したときと同じように、その部屋の扉は反応して開いた。

エイジュの背中ごしに荒れた室内が見えた。部屋の片隅を占める試験台に、山積にされた雑誌や資料がある。

反対側には中の見えない試薬棚と、デスクがあって、浩之はデスクの前で足を止めた。

エイジュは、引出しや棚を漁っている。

その行動が、浩之の意識から締め出された。

イニシャルの書かれたラベルが、目にとまったのだ。

HTと書かれたラベルが、パソコンの脇に貼られてある。
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