シルバーブラッド ゼロ
漆黒に戻った瞳は、哀しい色を帯びている。

それでもエイジュは何も言わず、その部屋へ入って行った。

縦に長細い部屋だ。

右手の壁一面に、黒いブラインドが下ろされていた。

奥には、黒いデスクがあり、布に覆われた機械とパソコンがある。

エイジュの肩はまだ、血を流すのをやめない。

浩之は思わず、デスクに近付き、機械に掛けられていた布を取った。

薄い生地のその布を引き裂いて、エイジュに向き直る。

エイジュはその行動に、不思議そうに浩之を見上げた。

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