シルバーブラッド ゼロ
違うのは、あの時、自分の精神を守る為に、自分自身が意識の底の底に何かを封印したらしいのに、今は、逆にそれを、甦らせたということだった。
 
浩之は、英樹を見た。

自分ですら、自分が何を考えているのか分からなかった。

ただ、手の中の感触が、妙にしっくり来るのを感じる。

浩之は強張ったように顔を英樹にむけたまま、視線だけを下げた。

そこに銃があった。

浩之から熱と意思を吸い込んで体温を得、心地のいい重みをたたえてそこに居る。

「何だ?」

 
あざ笑う顔の英樹がそこにいる。
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