シルバーブラッド ゼロ
浩之はその表情を見ながら、ルーズな姿勢でイスの背にもたれかかった。
 
そういう崩れた姿勢は、浩之の、女性的な色っぽさを最大限に引き出して、人の目を奪う。

その姿勢で、浩之は艶然と微笑みを浮べた。

つい、彼女は浩之のその笑みに見惚れた。

それから、ハッと我に返ると、そのことを誤魔化すみたいに、

英樹がそんなことする訳ない!!」
 
その声は、喫茶店に響き渡った。

普通なら顰蹙もののその反応も、浩之には、期待した通りのものだったらしく、満足そうに微笑んだ。

「同じこと、母親も言ったと思うよ。

ただし、自分のその目であいつがやった証拠を見なければね」

浩之はカップの縁を掴んで、手に取った。
 
驚いた彼女の視線が、手元についてくる。

「証拠?」


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