シルバーブラッド ゼロ
そういうタイプは、見ただけで分かるのに、今まで本性を隠してたらしいこいつのことは見抜けなかった。

でも

と、浩之は気を取り直した。

こいつのお陰で時間を稼げるかも知れない。

浩之は、思うなり、それを即実行に移した。

相変わらず気色の悪い目付きで浩之を見ているオヤジに、浩之はニッコリと微笑みかけ
た。

ついでにハスキーヴォイスを有効に利用して、艶っぽい声を生み出す。

「さっきからずっと、手が痛くてたまらないんだ。

お願いだから、解いてくれない?」

短髪の男の、瞳孔が全開するのが見えた。
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