シルバーブラッド ゼロ
こういうリアルさを感じられたのは、もう遥か遠くの記憶でしかなかった。
 
たった数時間のうちに、二人の人間に、二度も銃口を突きつけらたせいで、昔、あったハズの感覚が、目を覚ましたんだろうか。
 
浩之は苦く笑って、その感覚を自分から締め出した。

リアルさは、あまりに遠のきすぎていたせいで、どう対応していいのか、分からない。

それに、ちょっと眩しい。

「撃たれてなくて、良かった」

「でも、そのせいで、組織に追われる身になったのよ?」

「訳も分からないうちに殺されてしまうよりはマシだよ。

例え、どういう状況に追い込まれててもね」

それが、自分の本心なのかどうか、浩之自身にも、よく分からなかった。

「ところで、その、組織って何なの?英樹が何か関係してるの?」
 
歩き出していた彼女は、振り返りもせずに、口をつぐんでいる。

「あいつは、まだ生きてるの?」

「ええ」

「何で殺そうとしたの?」

「命令だから」
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