シルバーブラッド ゼロ
彼女は恐ろしく淡々と答えた。

それって、自分が命令一つで動く、殺し屋であることを肯定したってことなのに。

「その命令を下した人は、何で、英樹を殺させたいんだろう?」
 
エイジュは足を止めて振り返り、真っ直ぐに浩之を見た。
 
その訳を、エイジュは知っているようだ。
 
それなのに彼女は黙って、哀しそうに目を伏せてしまった。
 
何か言いたそうだったのに。

彼女は、何を言おうとしたんだろう。

「まだ、殺す気なの?」
 
質問をすり変えた。
 
すると、エイジュは目を上げた。

「分からない。命令はまだ生きているけど、その命令を下している組織を、あたしは既に裏切っているんだから」

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