シルバーブラッド ゼロ
「英樹は、その組織っていうのに命を狙われてることを、知ってるの?」
 
後ろ向きに歩いていたエイジュが、急にガクリと、足の運びを崩した。
 
けっこう高い、ヒールのせいなのか。

「知ってるわ。だから、組織から逃げ出したの。

時田博士は、組織の研究所に所属していたのよ」

「いつから?」
 
浩之は、エイジュに手を差し伸べて、彼女が態勢を立て直すのを助けた。

「分からない。でも、短い間じゃないみたい」

もしかして、いなくなった十年前からずっとそこにいたんだろうか?
 
一体、そこで何をしてたんだろう。
 
あの頭脳で、ただの研究助手をやってたとは思えない。

おそらく、研究そのものをやってたのに違いないだろう。
 
それも間違いなくアブない研究で、命を狙われるような結果を招くようなモノを、英樹は生み出してしまったんだ。

「優秀だった?」
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