シルバーブラッド ゼロ
一番下の引出しに取りかかって、浩之はピクリと手を止めた。
 
中には、びっしりと、何かを書き込まれた紙が、束ねられてほおりこまれていた。
 
その紙束を束ねた紐に、浩之の目は釘付けになっていた。
 
どこにでもある、ロープ状にされたビニールの青い紐だ。

ただ、その結び目が、変な具合に歪んだリボン結びにされている。
 
どうしたら、こんなおかしな角度に結べるんだろう。
 
その懐かしい感想に、心臓が凍りついていた。
 
これは…

もう一度、本の詰まった棚を開けた。
 
疑い出すと、急に、目が利くようになるようだ。

すぐに、専門書らしい本の中から、見覚えのある本を見つけた。
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